涙雨

雨の日に外に出るのは億劫だけど、屋根の下で君と聞く雨音は雨が跳ねるように心も跳ねる。

 

指の先がじんじんするほど心臓がどきどきしていて、このまま息ができなくなるのではと自分を心配してみたりする。

 

そんな私に気づいているのか気づいていないのか、彼は飄々としている。

もしかしたら彼の気遣いなのかもって思うと余計に緊張が高まる。彼は余裕なのかな?

 

こんな素敵な彼と一緒にカフェの窓際の席に座っていることを認識すると、自慢げにコーヒーを一口。

 

一人ひとつずつ注文したケーキをシェアして、ケーキの口溶けにうっとりする。いや、彼にうっとりしているのは分かっている。

 

「どっちのケーキが好き?」

「どっちも好き。」

 

チーズケーキとガトーショコラの食べ比べをしてみたけれど、彼が頼んだチーズケーキと答えたらこちらの心を見透かされそうで。でも自分が頼んだガトーショコラは他の店と同じくらい美味しかったからそう答えた。