シェアハウスと親友

私の一人暮らしは、シェアハウスから始まった。

 

シェアハウスと言っても、意識高めの人が集まるようなキラキラした所ではなく、まるで寮のような簡素なシェアハウスだ。

 

台所やトイレ、シャワーのみのお風呂、洗濯機と乾燥機は共有スペースにある。清掃は外部の人が週2回入ってくれる。女性専用のシェアハウス。(ここまで言うと、どこの会社のシェアハウスか分かるのかもしれない。)

 

私がシェアハウスに決めた理由は、ただ一つ。「初期費用が安いから」だ。

 

入居費が安く済み、必要最低限の家具は揃っている。

さらに、共同生活をしている人が居ることは寂しさを紛らわしてくれそうだった。

 

実際に入ってみると、初期費用が安い・清掃の人が入ってくれる、の所は満足だった。しかし、他の入居者の人を共同生活をしている人とは感じなかった。

 

それくらい、関わりが無い。皆のリビングという場所が無いからだろう。赤の他人が壁一枚挟んだ隣の部屋に居るのだ。

 

交流があれば、その分いざこざが起こりそうなので良いポイントなのかもしれない。しかし、共同生活をしている人を想像していた私にとって、そこは衝撃だった。

 

割り切って一人暮らしをシェアハウスでする、という認識で居た人には最適な場所かもしれない。

 

私は入居してから数日でそれを認識し、共同生活をしている人とは関わることなく三か月ほど経った頃ある事実が発覚した。

 

個人の部屋は、音の反響が凄く隣の人の声も全く聞こえなかった為、防音はしっかりしていると思っていた。

 

しかし、三か月ほど経った頃隣の人が風邪をひいてしまった。それが分かったのも、咳がよく聞こえるのだ!さらに今になって?なことなのだが、郵便が来てインターフォンに返事をした声がはっきり聞こえる!

 

この三か月間、隣の人は電話をすることも無ければ郵便が来ることもなかっただけで、実は音がだだ漏れだったことが判明した。

 

どこまで聞こえていたか分からないが、私の親しい人や家族との親密な電話も全て聞かれていたのか。

 

音を出さないように生活している隣の人はとても優秀だと思うが、聞こえているのならそれなりに示しておいて欲しかったと思うのは間違いだろうか?

 

この三か月間、盗み聞きされていたような感覚になって苛立ちを覚えたが、隣の人が悪いわけでは無いので、私も黙るしかない。

 

逆に、親密な話を全て聞かれているのなら、話した事は無いがむしろ親友かもしれない。

 

ピンチの時は、助けを求めると助けてくれるのかもしれない。実は話してみると、私はこう思うよ、とアドバイスまでくれるかもしれない。

 

という訳で、私は初めての一人暮らしをシェアハウスで経験し、話した事が無い親友が出来ました。親友と一緒に生活しているって、最高じゃない?